『陽気なギャングが地球を回す』は初めて読む伊坂幸太郎作品にピッタリ!
伊坂幸太郎さんの本で初めて読んだのが、陽気なギャングシリーズの一作目「陽気なギャングが地球を回す」でした。
この本を手に取った理由は、表紙がユニークで面白そうだったからです。笑
表紙には、地球を抱えている強盗が描かれているのですが、見るからにエンタメ感ぷんぷんです。
表紙はこちらです。
あらすじ・感想
この物語を一言で表すと、ちょっと変わった能力を持つ4人組の銀行強盗の話です。
このちょっと変わった能力というのがポイントになります。
それでは一人ずつ紹介していきます。
成瀬:人間噓発見器
まず一人目、普段は市役所に勤務する37歳の成瀬の能力は、人の嘘を見抜くことで、人の仕草や表情、話し方ですぐに嘘が分かります。
久遠:天才スリ
続いて二人目の、人よりも動物を愛する20歳の久遠は、スリの天才で、相手に気づかれずに物を盗ることができます。
響野:演説の達人
そして三人目、喫茶店の店主をしている郷野は、演説の達人であり、人間嘘発見器である成瀬は「響野は生まれてこの方、本当のことよりもでまかせを口にした回数のほうが多い」と言います。
雪子:正確な体内時計を持つ
そして、最後、4人目、強盗メンバー唯一の女性である雪子は、正確な体内時計を持っており、時計を見ずに1秒の狂いもなく数を数えることができます。
銀行強盗の役割分担
久遠のスリの能力以外、銀行強盗にどのように役立てるのか想像できないと思いますので、簡単に説明します。
まず、演説の達人である響野は、職員とお客さんが余計なことをしないように、そして落ち着かせるために話しかけます。
嘘を見抜く成瀬と天才スリの久遠の2人の役割は、響野が演説をしている間に、お金をボストンバッグの中にひたすら入れることです。
複数ある金庫のカギの中から正しいものを見つけるのに成瀬のウソ発見器の能力を使い、久遠が免許証の入っている職員のサイフを盗むことで、職員を脅して従わせるのに役立てます。
そして、残りの一人正確な体内時計を持つ雪子は、車の運転を担当しています。
彼女は、信号の待ち時間や道路の混雑具合をしっかりと頭に入れているため、お金を盗んだ3人を乗せて最善のルートを通って逃走するという役割です。
ここで、演説の達人である響野が、成瀬と久遠の2人がせっせとお金を盗んでいる間に何を話しているのか気になるという方のために内容を簡単に紹介します。
響野の演説内容
響野は、「さて、皆さん、今日は記憶の話をしましょう」といったように話し始めます。
もちろん、これを聞いたお客さんはきょとんとしていることは言うまでもありません。
響野は、「なめくじにも記憶があることはご存知でしょうか?」と記憶をテーマに話を続けます。
演説の中では、手続き記憶・意味記憶・エピソード記憶の3種類の記憶について説明されており、マメ知識を得ることもできます。
読者も響野の演説に聞き入ってしまい、銀行強盗をしていることをすっかり忘れてしまうはずです。
響野の素晴らしい演説のおかげもあって、3人は無事強盗を完了し、雪子が運転する車に乗り込みます。
せっかく盗んだお金が盗まれる!?
彼らは今まで100%銀行強盗を成功させてきており、今回も上手くいったかに思っていたところ、なんと逃走中にせっかく盗んだ4000万円を別の男たちに車ごと奪われてしまいます。
このままお金が返ってくることはないかに思えましたが、なんと久遠はお金を横取りした相手のサイフを盗っていました。
後日、財布の中にあった免許証に書かれている住所を手掛かりに、その男の家に出向いたところなんと、その家では一人の男の「死体」見つけます。
死んでいる男は一体何者なのか?
彼らは盗まれた4000万円を取り返すことができるのかに注目です。
この小説は、登場人物がとてもユニークでストーリー展開も早く全く飽きさせません。
人間嘘発見機の成瀬さんが凄くカッコよくて、演説の達人である響野さんの会話が凄く面白いです。
この小説を読めば、伊坂幸太郎さんの面白さを理解できる思います。
陽気なギャングシリーズ全て読んじゃえ!
私自身も1番最初に読んだ伊坂幸太郎作品が、この『陽気なギャングが地球を回す』でした。
そして、この作品を読んだことをきっかけにほぼ全ての作品を読むことになりました。
この陽気なギャングシリーズは、この作品を入れて3作品あります。
- 陽気なギャングが地球を回す
- 陽気なギャングの日常と襲撃
- 陽気なギャングは三つ数えろ
『陽気なギャングが地球を回す』を読んだ後は、残りの2つも読みたくなるはずです。
伊坂幸太郎は伏線回収の神
他にも、伊坂さんの特徴を言うと、伏線の伏せ方とその回収がメチャクチャうまいんです。そ
日本でも間違いなくトップレベルでしょう。
しかも、伊坂の伏線は伏線って気づきにくく、後半になるにつれて「あ、前半のあそこが実は伏線だったんだ」ということが多々起こります。
大学の時に、普段本を読まない友達にも貸しましたが、その時に「後半になるにつれて、どんどん面白くなった。回収された伏線を確認するのに2回読んだ」と言ってくれました。
貸した側からすれば最高の褒め言葉ですね。
人にオススメしやすい
伊坂さんの本は、非常に読みやすく、読後感がスッキリしているので、人にオススメしやすいです。
もし、普段あまり本を読まない友達から、オススメの本ある?と訊かれたら、伊坂さんを紹介すれば間違いないでしょう。
それと、伊坂さんの本に出てくるキャラクターは変わり者が多いんですが、どこか憎めないところがあるので、登場するキャラクターにも注目です。
登場人物たちの会話もすごくユーモラスで思わずクスッと笑ってしまうことがあるでしょう。
まるで映画を観ているかのような読書体験
伊坂さん自身が映画好きということもあり、伊坂さんの小説は、本を読んでいるというより映画を観ているという感覚に近いです。
実際に映画化しているものも多いので、原作に興味を持った方は、その作品の映画を見るというのも、伊坂さんの楽しみ方の一つではないでしょうか?
コメント
楽しく読ませてもらいました。
私も伊坂幸太郎はかなり読んでますが伏線をばら撒きまくって後半で一気に回収して行くのはもう快感の域ですよね
id:kiri1837
bOOkBugさん
コメントありがとうございます(#^^#)
あの気持ちよさはヤミツキになりますよね(*’ω’*)
私も近いうちに伊坂幸太郎で記事書こうと思いますい