【小説】伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』あらすじ・感想【ネタバレなし】

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【小説】伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』あらすじ・感想【ネタバレなし】

サカキ
サカキ

こんにちは、サカキです。今回は伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』という作品を紹介します。

 

この記事では次の3つについてお話ししていきます。

 

  • あらすじ
  • 物語の構成
  • ポイント

 

この記事は、まだ読んでいない方はもちろん、1度読んだという方も楽しめる内容になっています。

 

それでは、あらすじから順に説明します。

 

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【伊坂幸太郎】『ゴールデンスランバー』あらすじ・感想を紹介!

 

あらすじ

『ゴールデンスランバー』という小説を一言で表すと、日本の首相が殺害され、その犯人として冤罪をかけられた主人公が逃げ回る話です。

 

この作品は、謎と逃走を掛け合わせたスリル満点のエンタメ小説になっています。

 

私は今までに2回この作品を読んでおり、この記事を書くためにもう一度読み返しましたが、メチャクチャ面白かったです。

 

詳しくあらすじを説明していきます。

 

日本の新しい首相がパレード中にラジコンヘリを使った爆破テロによって殺されたことが事件の発端です。

 

テレビで生中継されている最中のことだったので日本中が大騒ぎとなります。

 

首相が殺害されたことを合図に、主人公の青柳の前には次々と追手が現れます。

 

主人公はなぜ自分が追われているのかが分かりません。

 

ただ首相が殺された直後に友人に言われた

 

「お前、オズワルドにされるぞ」-本書p.161より

 

という言葉がいつまでも頭に残り、主人公はひたすら逃げ続けます。

 

オズワルドという青年のことは後ほど説明します。

 

続いて、物語の構成について紹介します。

物語の構成

伊坂幸太郎さんの作品ですので、ただ主人公が逃げ回るだけの1本筋の話ではありません。

 

この作品は、5つの章で構成されています。

 

  • 第1章 事件の始まり
  • 第2章 事件の視聴者(3日間)
  • 第3章 事件から二十年後
  • 第4章 事件(青柳視点)
  • 第5章 事件から三ヶ月後

 

第1章 事件の始まり

第1章は、青柳の元恋人である樋口晴子とその友人がソバ屋でランチをしながら、首相のパレードをテレビで観ているシーンから始まります。

 

この章で描かれているのは、オープンカーに乗る首相の頭上でラジコンヘリが爆発する場面までです。

 

第2章 事件の視聴者

第2章では、この事件の様子をテレビで観ている視聴者の視点で語られています。

 

この章で描かれているのは、青柳の逃亡劇の決着がつくまでの3日間についての内容です。

 

青柳のおおよその行動が読者にテレビを通して分かるようになっています。

 

実は青柳は一般の人ではありますが、ある事件をきっかけにちょっとした有名人になりました。

 

その事件というのは、以前青柳が託送ドライバーをやっていた時に起こったことです。

 

なんと、荷物の届け先の家に強盗が入っており、青柳は襲われそうになっていた人を助けます。

 

その助けた相手が人気アイドルで、青柳が好青年であったためさらに話題になりました。

 

しかし、青柳は一躍時の人になったこのことがきっかけで、首相殺しの容疑者にされてしまいます。

 

首相が殺されてからは続々と青柳の情報がメディアに集まりました。

 

  • ラジコンヘリで遊んでいる姿
  • 電車で痴漢として捕まっている姿
  • 青柳自身が「俺が犯人だ」と言っているテープ

 

いかにも青柳を犯人として仕立て上げるためのものばかりです。

 

第2章で怖いのが視聴者のほとんどが青柳がやったと信じていることです。

 

第3章 事件から二十年後

第3章は、事件の20年後の話で、この時代では青柳が犯人であると信じている者は今や一人もいないだろうと言われています。

 

しかし、この事件に関する人たちの多くが不審な死を遂げてしまっているため、本当の犯人は分かっていません。

 

この構成の面白いところは、第2章で青柳が犯人であるかのように扱った後すぐの第3章で青柳が冤罪であることを示唆しているところです。

 

主人公が冤罪であるという前提で第4章を読み進めていくことになるので、まさに自分がこの物語の中に入って逃げ回っているような臨場感を味わうことができます。

 

第4章では、青柳の視点で事件の一部始終が語られます。

 

第2章を読んだだけでは、読者はこの事件についてはテレビで放送された大雑把な内容しか知りません。

 

しかし、第4章を読むと、青柳がどのようにして逃げていたのかについての詳細が描かれているので、事件の全容が分かるようになります。

第4章 事件(青柳視点)

第4章がこの作品のメインとなるので1番分量も多いです。

 

この章では、ずっと青柳が逃げ回るだけではなく、合間合間に青柳の過去についてのエピソードが挟まっています。

 

それによって『ゴールデンスランバー』の登場人物のキャラや関係性が浮き彫りになっていきます。

 

作品のポイント

それでは、この作品のポイントを紹介します。

 

ポイント一つ目は、この作品のモチーフです。

 

ポイント①作品のモチーフ:ケネディ大統領暗殺が基になっている

先程、オズワルドという言葉が出てきましたが、みなさんはこの青年をご存知でしょうか?

 

オズワルドは、ケネディ大統領暗殺事件の犯人とされている青年です。

 

大統領が暗殺された1時間後にオズワルドという青年が犯人として逮捕され、2日後に警察署で銃殺されて死亡します。

 

この事件の翌年に提出された報告書では、ケネディ大統領の暗殺はオズワルドが単独で起こした事件であると処理されています。

 

しかし、オズワルドがケネディ大統領を殺害したという証拠はありません。

 

なので、この事件は冤罪なのではないかという疑惑の声が上がっており、事件の真相については長年議論されています。

 

この話から分かるように、伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』という作品はケネディ大統領暗殺事件が基になっています。

 

パレード中に首相を殺害したとされている主人公の青柳と、パレード中にケネディ大統領を殺害したとされるオズワルドは同じ境遇です。

 

ただ主人公が逃げ回る姿にハラハラドキドキするだけでなく、歴史的な事件についても考えるきっかけになると思います。

 

続いて、この作品のポイント2つ目は、主人公の青柳が元恋人の樋口晴子に振られるシーンです。

 

主人公の青柳が元恋人の樋口晴子に振られるシーン

第4章で青柳が振られる場面が描かれていますが、そのシーンがすごく印象的だったので紹介します。

 

7年前、配達の仕事を終えた青柳は樋口晴子の家に行き、1枚の板チョコを見つけます。

 

樋口晴子に

 

サカキ
サカキ

チョコもらっていい?

 

と確認すると、

 

いいよいいよ。割っちゃって

 

と言われ半分に割ります。

 

青柳は丁寧に割ったつもりでしたが、若干大きさが違っていました。

 

彼はそのうちの片方を彼女に差し出したところ

あのさ、わたしたち、別れようか

と言われてしまいます。

 

それは、彼女に渡した方のチョコが小さかったからではありません。

 

青柳は、ちゃんと大きい方を確認して渡しました。

 

そこで彼女が言ったセリフを紹介します。

 

「細かいことなんて、どうでも良くてさ、あんまり気を遣わないで。少しくらい、チョコが小さくても、わたし、怒んないし。わたしと青柳君、もうずいぶん長いこと、付き合ってるんだよ。卒業してからは仕事であれだけど、だいたい一緒だったんだし、そこまで気を遣うことない。そう思わない?」-本書p.130より

 

サカキ
サカキ

彼女は今回のチョコが別れる真の理由ではないとは言っていますが、もしこれを言われたら結構へこむと思います。笑

 

 

また、子供の時に先生からもらった『よくできました』『たいへんよくできました』というハンコがあったという話になり、

 

「わたしたちって、このまま一緒にいても絶対、『よくできました』止まりな気がしちゃうよね」-本書p.133より

 

と追い打ちをかけられます。

 

つまり、このまま付き合っていても『たいへんよくできました』の関係にはなれないということです。

 

彼女としてはこのままずっと青柳と一緒にいたいとは思えなかったのだと考えられますが、このモヤッとする別れ方に青柳くんは腑に落ちない様子です。

 

最後に、『ゴールデンスランバー』のポイントをもう一つサクッと紹介したいと思います。

 

それは、この作品に限ったことではありませんが、『ゴールデンスランバー』も例にもれず伏線の回収が巧いです。

 

ポイント③伏線の回収が巧い

ここで詳しくは言いませんが、例えば、先程の『たいへんよくできました』という言葉もメチャクチャ重要な役割を果たします。

 

この伏線が回収された時、鳥肌が立つこと間違いありません。

 

また、青柳にはいくつかのクセがあります。

 

  • ご飯粒を残す
  • 痴漢を絶対に許さない
  • エレベーターのボタンを親指で押す

 

これらのちょっとしたことが後々伏線として回収されます。

 

『ゴールデンスランバー』はストーリー全体のクオリティも高いですが、細部にもこだわった凄く贅沢な作品になっています。

 

まだ読んでいないという方は是非読んでみてください。

 

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