【伊坂幸太郎】重力ピエロあらすじ・名言・感想を紹介!【ネタバレなし】

こんにちは、サカキです。今回は伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』という作品を紹介します!
『重力ピエロ』を一言で表すと、「謎解きと家族愛の物語」です。
私は伊坂幸太郎さんの作品の中で1番感動したのが『重力ピエロ』でした。
この記事では、以下の3つについてお話ししていきます。
- あらすじ
- 名言
- 感想
まだこの作品を読んでいない方はもちろん、すでに読んだという方も楽しめる内容になっています。
まず、この小説のあらすじを簡単に紹介します。
あらすじ
この物語にメインで登場するのは、2人の兄弟です。
当時高校生だった弟の春が、体育館の倉庫でレイプされていた女の子を助けだすシーンから始まります。
レイプ魔は3人いて、春はバットで殴りつけてコテンパンにします。
そのバットは、大学生だった兄に電話で頼んで、家から持ってきてもらったものです。
多くの作家は、物語の最初と最後のシーンをもの凄く気合を入れて描きますが、『重力ピエロ』のこのシーンもメチャクチャ重要であることが後になって分かります。
弟の春は、そのレイプされていた女子生徒を助けたかったワケではありません。
春はレイプをする人が許せない
春は、ただレイプをする人が許せないだけです。
その理由は、春の生まれにあります。
実は、兄の泉水が1才の時、母親がある男にレイプされてしまい、その時にできた子供が春です。
そのため、春は「性的なるもの」を人以上に毛嫌いしており、特にレイプをする人を心底嫌っています。
母親を襲った男はその事件の10日後に逮捕されました。
その男は、今までに30人以上を犯してきましたが、未成年であったため刑が短く、また名前も公表されていません。
兄 泉水の会社が放火の被害にあう
春が女子生徒を襲うレイプ魔を退治してから10年後のある日、兄の泉水が勤務している会社が放火の被害にあいます。
2人が住む仙台の街では最近、連続放火事件が起きており、泉水の会社もその一環で燃やされたようです。
弟の春は、なんと兄の会社が放火されることを予言していました。
春は、次に放火される場所の法則を見つけたと言います。
放火される場所の法則:放火現場の近くにグラフィティアートの落書きがある
その法則は、放火現場の近くにグラフィティアートの落書きがされていることです。
グラフィティアートというのは、建物のカベにスプレーで描いた絵のことです。
弟の春は、落書きを消す仕事をしているため、落書きの最新情報を入手することができ、放火現場とグラフィティアートの関係性に気づきました。
また、グラフィティアートには、全て英単語などの文字が書かれているという共通点もあります。
兄の泉水・弟の春・癌で入院をしている父親の3人で、その暗号に込められたメッセージの謎解きが始まります。
物語の終盤に、放火魔と落書きの関係性が明らかになり、そして犯人の正体を知った読者は驚愕するはずです。
続いて、この作品のポイントを3つ紹介します。
ポイント①他の伊坂作品とのリンク
一つ目は、他の伊坂作品とのリンクです。
伊坂幸太郎さんの作品では、同じキャラクターが実は他の作品にも登場していた、なんてことがよくあります。
この作品には、泥棒と探偵を兼業している黒澤という男が登場しますが、『ラッシュライフ』や『フィッシュストーリー』という作品にも登場しています。
もちろん他の作品を読んでいなくても十分楽しめますが、何作か読んでいるとあっちにもこっちにも登場しているキャラクターがいるのに気づくはずです。
見つけた時は、ワンピースでいうパンダマンを発見した時のように嬉しさが込み上げてきます。
続いて、この作品のポイント2つ目は、名言が多いことです。
ポイント②名言が多い
伊坂幸太郎さんの作品には、読んだ後もずっと心に残るような言葉が沢山書かれています。
私は「この言葉凄くいいな」と思ったところにフセンを貼りながら本を読んでおり、その時に私がチェックした名言を3つ紹介します。
最初の2つのセリフは、弟の春の言葉です。
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」-本書p.106より
「人間の賢さは、人間のためにしか役立っていない」-本書p.165より
次に、泥棒と探偵を兼業している黒澤の言葉を紹介します。
「人間が全て平等に作られているなら、泥棒なんて現れないんだ。分配の不平等を是正するために泥棒は存在する。つまり、平等を回復するに過ぎないんだ」-p.428より
伊坂幸太郎さんの作品を読むと、
- なるほどと納得するものだったり
- 社会を風刺するものだったり
- ユーモアのある言葉だったり
様々な名言に出会えます。
ストーリーを追うだけでなく、どんな名言が書かれているのかを探しながら読むとより楽しめると思います。
最後、ポイント3つ目は、春の出生についてです。
ポイント③春の出生
春の父親はレイプ魔であるので、春には犯罪者の血が流れていることになります。
作中でも、春が子供の時にレイプ魔の子であることを近所でウワサされていたという描写があります。

みなさんは、もし男性であれば自分の妻、女性であれば自分自身が襲われて妊娠した場合、その子供を産もうと思いますか?
兄の泉水が夢で、母親が襲われていて助けたいけど、もし助けたら春が生まれてこないという葛藤に苦しむという描写があります。
泉水は、春を生んだことは正解だけど、もし自分の妻であれば産ませはしないと考えているようです。
両親が春を産もうと決断したのは、母親が病気であったことも関係しているのではないかと言われています。
何が正解というのはありませんが、この問題については春が登場するたびに考えさせられました。
この作品は泉水の視点で語られているので、春の心理というのは分かりません。
なので想像するしかありませんが、もし自分が春と同じ立場だったらと考えるともの凄く複雑な気持ちになります。
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