【最新作】中村文則『その先の道に消える』内容・あらすじを紹介!

中村文則
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中村文則【最新作】『その先の道に消える』内容・あらすじ紹介

みなさん、こんにちは!

 

みなさんは、新作が発売されたら、今読んでいる本を中断してでも、すぐに買って読む自分にとって特別な作家はいますか?

 

私の場合は、何人かいますが、村上春樹と中村文則はまさにそれです!

 

なんと10月の初めに、私の大好きな作家の一人である中村文則の新作『その先の道に消える』が発売されました

 

私は、前もって予約しておき、本が届く日には予定を入れず玄関の前で正座して待っていました(少し盛りました)

 

そして、本が届くと、それ以外は何も(息も)しないで読むことだけに集中して、一気に読み切りました(一部盛りました)

すぐに読んでしまうのはもったいないという気持ちと、全部読まずにはいられないという気持ちに挟まれながらも、一気に読んでしまいました。

 

好きな作家の書いた文章に浸り、その物語にどっぷり浸かることはこの上ない幸せでした(*^-^*)

 

好きな作家の新作を楽しみに人生を生きていると言っても過言ではないです。

 

マンガと違って、小説は新刊が定期的に発売されるわけではないので、新作が発表された時の高まりは特別ですよね。

 

今回は、中村文則の新作『その先の道に消える』についての感想や中村文則という作家について紹介していきたいと思います。

中村文則の作風

まずは中村文則の作品・文章の特徴について紹介します。

心を深く掘り下げた文章

中村文則の特徴の1つ目は、人の心を深く掘り下げた文章であることです。

 

3人称で書かれた小説もありますが、1人称で書いた作品の方が多く、この作家は、1人称の方が断然面白いです!

 

中村文則は、登場人物の独特な視点や心の微妙な動きを描写するのがすごく上手く、この作家が描く世界観に共感はできなくても、どこかで肯定している自分に気づくでしょう。

死への憧れ

中村文則の作品には、死への憧れを抱いているような人物が多くみられます。

 

この作家自身が、死への羨望があり、それを登場人物に投影しているように思います。

 

しかし、普段生活している上で「死」を意識することは多くないと思いますが、ふとした時に、「死」について考えていることはありませんか?

 

生きている以上、生まれてきた以上「死」は切っても切り離せません。

 

「死」について考えることで、「生」についても考えることができるように思います。

 

なので、「死」の匂いを漂わせている中村文則の作品を読むことで、自分の「生」についても考えさせられます。

無感覚

また、この作家の作品には、生きているけど、生きている実感が全然ない、「無感覚」な人物も多く登場しています。

 

「無感覚」は生きる気力がない無気力とは少し違っており、自分の心が自分の中にはなく、乖離しているような状態です。

 

「生」を実感できず、かと言って「死」を意識しているわけでもない、「生」と「死」の間、あるいは、「生」も「死」も興味がないような感じです。

 

仕事をしているときに、急に「自分はいったいこんなところで何をしているんだろ」といった時に感じるものに近いと思います。

歪んだ性癖

中村文則の作品は、賛否両論で、私を含め好きな人はすごく好きだし、嫌いな人はすごく嫌いというように二極化しています。

 

中村文則の作品には、歪んだ性癖を持つ登場人物が多く、性描写が苦手な人は拒否反応を起こしてしまうようです。

 

『その先の道に消える』では、表紙を見てもわかる(私は表紙を見てもわかりませんでしたが笑)ように「SM緊縛」について書かれています。

 

本書のp.163に登場人物の手記に「思えば自分は生来、性的な人間でした。」という表現が出てきており、「性」がこの作家のテーマの1つのように思います。

 

大なり小なりほとんどの人が性欲を持っており、「生」と「性」は切っても切り離せない関係にあり、「性」は自分ではコントロールしずらいことから、不条理でもあります。

 

自分で選んだわけではない性癖に振り回されるというのは、同情すらしてしまいます。

 

この作家は、「性」をエロとしてではなく、人間の本質を描くためのツールとして利用しています。

 

性的な表現が苦手というのはわかりますが、目を背けたくなることに目を向けてみると、新しい発見があるかもしれません(/ω\)ないかもしれませんが。笑

『その先の道に消える』あらすじ

アパートの一室で「緊縛師」の死体が見つかる。(「緊縛師」という存在を私は初めて知りました。)

 

重要参考人として桐田麻衣子の名前があがり、その人に惹かれている刑事・富樫は、疑惑を逸らすために麻衣子の指紋を偽装する。

 

しかし、同僚の葉山は富樫の不可解な行動に違和感を覚える。

 

この事件を裏で糸を引く「Y」とは、どのような人物なのか。

 

麻衣子と「緊縛師」はどのような関係があったのか。

 

作者自身が、本作品を「薄い霧の中で、ぼんやりとした光が、つまりそれぞれの人生の断片が、重なり合うような物語」と称し、中村文則が出した「この世界を生きる意味」の答えがここに書かれている。

『その先の道に消える』 感想

続いて、『その先の道に消える』を読んだ感想を紹介したいと思います。

 

本書も例に漏れず、上記の「中村文則の特徴」の全てを含んだ作品となっております。

 

本書では、死体と刑事が出てきますが、もちろん普通のサスペンスとは違います。

 

発売されたばかりということもあり、今回は、ネタバレにならないよう内容に深く踏みこまないようにしたいと思います。

 

本書を読んで、私がビビットきた文章の一部を紹介します。

社会にとって、恐らく彼女は有害だ。

彼女の背を見ながら、私は思う。

また誰かが彼女に関わり、何かが起きる可能性がある。

でもそれを、私は止める気にはなれなかった。

それぞれの人生が、またあのように歪に交差するかもしれない。

味気ない現実の中で、時折激しく、何かが点滅する。

なのに、私は彼女を止めることができない。-本書p.245

もちろん、小説は全部を読まないとわかったことにはなりません(全部読んでもわかるとは限りません)が、引用したところは、本書の内容を凝縮させたエッセンスだと、私は思います。

 

社会にとって、有害ではあるが、有罪ではない女性(ヒト)、存在するだけで色々な人の人生を狂わせるミステリアスな女性(ヒト)が登場し、その先の道へ消えていきます。

 

魅力的であり、魅惑的でありますが、近づく人たちをどんどん狂わせていく。

 

そんな人が私の周りにいれば、即効で人生が狂ってしまう自身があります。

特別な作品です

あとがきで、作者は、この小説もまた僕にとって特別なものになったと書いてありましたが、私にとっても特別なものになりました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

この記事をきっかけに、今回紹介した『その先の道に消える』を手にとってもらえたら幸いです!

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