【中村文則新刊】『自由思考』書評&感想┃小説・映画などの作品に興味を持った方にオススメのエッセイ!

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【中村文則新刊】『自由思考』書評&感想┃小説・映画などの作品に興味を持った方にオススメのエッセイ!

サカキ
サカキ

こんにちは、サカキです!今回は中村文則さんの初エッセイ集『自由思考』の書評をしていきたいと思います!

 

『自由思考』には、中村文則さんがデビューした2002年から2019年までのエッセイが1冊にまとまっています。

 

なんとその数111本

 

エッセイでは異例の分量になっています。

 

『自由思考』を読んだ感想を率直に言うと、本当に最高でした!

 

読み終えるのが勿体ないという気持ちで読んでいました。

 

このエッセイを読めば、中村文則さんが好きな人はより好きになると思います。

 

『自由思考』は3つの章で構成されています。

 

  • Ⅰ(エッセイ・文学論)
  • Ⅱ(社会問題・政治)
  • Ⅲ(エッセイ・受賞関連)

 

内容を順番に紹介していきます。

 

Ⅰ(エッセイ・文学論)

Ⅰでは、エッセイ・文学論について書かれています。

 

具体的な項目は、次のとおりです。

 

  • 子供のころのエピソード
  • アダルトビデオの名言
  • 日記
  • 賞の後先
  • 中村文則が読む『罪と罰』
  • 『ONE PIECE』について
  • 作家志望の方々へとアドバイス

 

全てではありませんが、ザっとこんな感じです。

 

この章を読んだ(読んでいる)時の僕の感想は、

 

サカキ
サカキ

え!?明るい!

 

でした。

 

中村文則さんの作品のイメージから、エッセイもかなり暗いものを想像していましたが、全くそんなことはありませんでした。

 

中村文則さんの日々のあれこれ(エッチなことも含めて)が軽いタッチで書かれています。

 

中には面白くて笑ってしまうものもありました。

 

僕が吹き出してしまったうちの一つである「アダルトビデオの名言」の内容を紹介します。

 

下ネタが嫌いな方は飛ばしてくださいm(_ _)m

アダルトビデオの名言

中村文則さんが高校生の時に観ていたあるAVの話です。

 

そのAVでは、真珠のネックレスを持った男優が、足を開いた女優に近づいていきます。

 

何をするのかと観ていると、ネックレスを首にかけるのではなく、なんと女性の大切な部分に入れていったようです。

 

その時に男優が呟いた言葉が次のとおりです。

 

「そーれ・・・・・・真珠湾攻撃だ」-本書p.34より

 

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ここから男優による真珠湾攻撃が始まりました。

 

「攻撃だー」「やーん」「降参か? 降参か?」「や~ん」「ダダダ、ダダダ」「降参~」-本書p.34より

 

 

中村文則さんは、何でそんなものを入れるのか当時は分からなかったし、今も全然分からないと言います。

 

そして、「平和って素晴らしい」と思ったようです。

 

まさか中村文則さんのエッセイでこんなに愉快な文章が読めるとは思いませんでした。笑

 

「アダルトビデオの名言」はこの他にあと2つ紹介されているので、気になる方はポチってください。

 

もちろん、エッチなものだけでなく、芥川賞の候補に入った時の話のように真面目な内容も沢山あります!

 

また、ドストエフスキーの『罪と罰』『ONE PIECE』の書評は、作家の目線で書かれており大変勉強になります。

 

以上のことから分かるように、Ⅰで書かれているのは比較的軽めなエッセイです。

 

次のⅡの章で、中村文則さんらしい重たい内容に突入していきます。

 

Ⅱ(社会問題・政治)

Ⅱの章では、先程までとは雰囲気が一気に変わり、社会問題や政治についての考えが述べられています。

 

具体的な内容は次のとおりです。

 

  • 就職氷河期
  • 福島の被災者に向けた寄稿文
  • テロ等準備罪
  • ヘイトスピーチ
  • モリカケ問題
  • 外国人差別
  • 憲法9条論

 

これだけを見ても、Ⅰの章とは違うことが分かります。

 

モリカケ問題など、その時は凄く話題になっていましたが、最近はほとんど耳にしなくなったのではないでしょうか?

 

このエッセイを読むと、以前に問題になっていたことを改めて考え直すきっかけになると思います。

 

ここでは、社会を風刺している『「美しい国」の夢』の内容を紹介します。

 

「美しい国」の夢

これから紹介するのは、今の政府が望む子供の「将来の夢」を中村文則さんが予想するというものです。

 

「僕は、将来は官僚になりたいです。

国民を見るのではなく、政権の顔色ばかりうかがうようになりたいです。そのためにはデータを隠蔽し、捏造し、時には男らしく破棄し、強気にうそをつき、そのことで政権に気に入られ、出世していく官僚になりたいです。退職後の天下り先も、今から楽しみにしています。よだれが出そうです」-本書p.204より

 

なかなか毒がきいていて面白いですよね。笑

 

この他にも次のようなバージョンがあります。

 

  • マスコミver
  • 国民ver
  • コメンテーターver

 

この章では、中村文則が現代社会に対して抱いている怒りや焦りが伺えます。

 

政治に対して思うことがあっても発言しない作家は少なくありません。

 

しかし、自分が好きな作家が今の政治をどのように思っているのかを知りたい人は多いのではないでしょうか?

 

Ⅱの章では、中村文則さんの思想を知ることができます。

 

中村文則さんの頭を借りてみなさんも一緒に考えてみてください。

 

続くⅢの章では、「歯医者が嫌い」というエッセイから始まります。

 

Ⅰのように軽くて明るい雰囲気が戻ってきます。

 

Ⅱでズーンとしたまま終わらせないようにする、お口直し的な配慮なのかなと勝手に思っています。笑

 

Ⅲ(エッセイ・受賞関連)

Ⅲでは、エッセイと受賞関連の内容が掲載されています。

 

具体的な項目は次のとおりです。

 

  • 歯医者が嫌い
  • バレンタインデー
  • ダンゴ虫
  • トカトントン
  • 目の下の隈について
  • 『最後の命』と逸脱した性
  • 『R帝国』「キノベス二〇一八」第1位贈呈式スピーチ

 

この章でも中村文則さんの日々のあれこれが書かれています。

 

普段、中村文則さんがどのようなことを考えていて、どのような悩みがあるのかが分かります。

 

そして、写真やテレビで見る分には気になりませんでしたが、本人は目の下の隈を凄く気にしているようです。

 

このエッセイの中でも自虐的なネタが何度か出てきます。

 

Ⅲの中では、中村文則さんが小説を書く理由について触れている部分があるので紹介します。

 

中村文則が小説を書く理由

 

一冊の本が、地面に落ちた一粒の種子のように、その後少しずつ広がっていく。世の中を劇的に変えることはできなくても、何かのブレーキになったり、0.01度くらい進む方向を変えたりすることは、できるのではないか。書いている最中、ずっとその想いでした。本には、本にしかできない、役割があります。-本書p.280より

 

こちらは、『R帝国』「キノベス二〇一八」第1位受賞エッセイで書かれていたものです。

 

僕を含めて、中村文則さんに救われている人は沢山いると思います。

 

僕の場合は、(あまり良い例ではないかもしれませんが)中村文則さんの小説を読んで、自分よりももっと絶望している人がいることを知って「自分の人生の大変さなんて全然大したことない」と心の底からそう思えるようになりました。

 

中村文則さんの「共に生きましょう」という言葉を支えに日々を送っている人は少なくないはずです。

 

一読者として切に願うことは「お願いだから自殺だけはしないで」ということです。

 

中村文則さんが生きていることが間違いなく「何か」のブレーキになっており、救いになっています。

 

このエッセイは中村文則さんの作品が好きな方は絶対に買うべきです。

 

色々な角度から中村文則さんを知ることができます。

 

僕は『自由思考』を読み終えたばかりですが、早く次のエッセイを読みたいという気持ちになっています。笑

 

この記事を読んでるみなさん、シンドイことが多い世の中ですが、共に生きましょう。

 

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