【感想】村田沙耶香『地球星人』ネタバレ~この作品は『コンビニ人間』より面白い!!!~
こんにちは!
みなさん、芥川賞を受賞した『コンビニ人間』は読みましたか?
『コンビニ人間』は、コンビニの店員として働くことしかできない女性が主人公の話で、普通の人とはかなり違った価値観を持っており、世間に衝撃を与えました。
以前に、当ブログで感想を書かせていただいたので、もしよろしればご覧ください。
今回紹介する、『地球星人』は『コンビニ人間』を越える作品でした!
『地球星人』を読めば、『コンビニ人間』が書けたのはまぐれではなかったことがわかるはずです。
『地球星人』あらすじ
『地球星人』のあらすじを紹介したいと思います。
※以下、ネタバレの内容を含みます
ポハピピンポボピア星人について
『地球星人』という小説には、「地球星人」と「ポハピピンポボピア星人」が登場します。
〇〇星人というと宇宙人が出てくるSFを想像する方もいるかと思いますが、『地球星人』はSFではありません。
「地球星人」はいわゆる我々地球人で、うまく環境に順応し、常識に縛られている人たちです。
「ポハピピンポボピア星人」は地球とは別の星から来た(と思っている)人で、常識や当たり前といわれる価値観に疑問を抱いています。
そして、この本の主人公は、「ポハピピンポボピア星人」で、小さい頃から自分は他の人とは違っていることに気づいています。
この作品を知ってもらう上で、「ポハピピンポボピア星人」である主人公がどのような生き物なのかを知ってもらう必要があるので、説明していきたいと思います。
・世界は人間をつくる工場
・生殖器は、子どもを作るための部品
・子どもはこの工場をでて、世界に働く道具として出荷されていく
・出荷された人間は、他の人間から貨幣もらい、エサを買って自分の巣に持って帰る
・やがて若い人間も巣に籠もり、子作りをする
主人公は、以上のような世界観をもって生きています。
世間の人は皆「工場」にちゃんと洗脳され「工場」を信じ、従っています。
『地球星人』は、主人公を含め「ちゃんと洗脳してもらえなかった人」が、「工場」から排除されないように洗脳されたふりをして生き抜く物語です。
『地球星人』感想
続いて、『地球星人』の感想について書いていきたいと思います。
誰もが皆「ポハピピンポボピア星人」!?
初めは「ポハピピンポボピア星人」がすごく変わっているように感じていましたが、読み進めていくにつれて、「ポハピピンポボピア星人」に共感できることが増えていきました。
物語の後半に、「最初は誰もがポハピピンポボピア星人なのかもしれない」と書かれているところがあり、納得しました。
生まれたばかりの子どもには、地球人としての常識は何もなく、宇宙人(ポハピピンポボピア星人)に近い存在と言ってもいいのかもしれません。
大抵の人は、学校や親から教育(洗脳)を受けることで、常識が植え付けられ、国や学校、親の都合のいい地球人へと成長していきます。
しかし、中には、教育(洗脳)を受けても全く洗脳されない子がいます。
そのような子は、周りから変な子扱いされたり、病名をつけられたりと、「ポハピピンポボピア星人」扱いされます。
上の人が言う事は絶対だ、空気を読め、常識に従え、と気持ちよさそうに言う人がいますが、
そんな人たちがいる世界なんて、ただただ生きづらいだけですよね。
私を含めて、上の人の言うことなんか聞きたくないし、空気なんて読みたくないし、働きたくない人って結構多いかと思います。
嫌だけど、生きるためにしょうがなくやっていることって沢山ありますよね。
中には、上手く「洗脳」され「常識」を全く疑わずに生きている人もいますが、その人たちみたいにいっそのこと完全に「洗脳」されてしまった方が楽かもしれません。
頭を使わず、常識や上の言うことだけに従っていれば、葛藤しなくていい分、楽に生きられると思います。
『地球星人』の主人公は、子どもの頃から「工場」の部品として生きていくために「洗脳」されることを願っていました。
しかし、大人になっても「洗脳」されなかったため世間に馴染めず、生きづらさを感じながらも生き抜くことだけを考えて生活していました。
世の中の人は3種類に分けられる
『地球星人』を読んで世の中の人を3種類に分けられることに気づかされました。
1.地球星人
→上手く「洗脳」され、「常識」を全く疑わずに生きている人。
(『地球星人』における例:主人公の親・親せき・友達など)
社会的に成功している人、学校にいるいい子ちゃん、ウェイ系、先生などに気にいられる人がこのタイプです。
2.地球星人のフリをしているポハピピンポボピア星人
→「洗脳」に失敗し、「常識」に馴染めないながらも、馴染んでいるフリをして生きている人。
(例:主人公・主人公の幼馴染など)
「常識」を疑い葛藤しながら生きている人たち。常に演技をしながら生きている人はこのタイプです。
3.ポハピピンポボピア星人
→「洗脳」に失敗し、「常識」に馴染めず、それを隠さずに生きている人
(例:主人公の夫)
引きこもり、ニート、芸術家(作家含む)などがこのタイプです。
みなさんは、どのタイプですか?
ちなみに私は2番です。
1番の人たちは『地球星人』を読んでも面白く感じないと思います。
『地球星人』が面白く感じれば、あなたは2番か3番ということでしょう。
最後に
学生のうちは飲み会に誘われても行きたくないときは行かないとハッキリ言えましたが、働いてからは、上の人からの誘いはなかなか断ることができませんでした。
そして、行きたくもない飲み会に行っていましたが、それは本当に苦痛でした。
しかし、途中から、どうせ行くことになるなら嫌な気分になってもしょうがないと思い、誘われたら考えずにOKと言おうとわりきってしまいました。
そうすると、頭を使わなくていい分、葛藤しなくていい分、今までよりも楽になったように思いました。
空気を読み、長いものに巻かれて生きていく方が格段に楽だと思います。
大抵の人は、頭が空っぽのマジョリティに流されたくないという気持ちと、大きな流れに乗った方が楽だという気持ちに挟まれながら生きていると思います。
「地球星人」として生きていくこと(今やっている仕事)をやめて、「ポハピピンポボピア星人」として生きてく(好きなことをやる)方がいいんですかね。
みなさんは、どう思いますか?(*^-^*)
「そんなこと言ったって、好きなことをして生活費は稼げるの?」
と地球星人の声が聞こえてきそうです。笑
村田沙耶香の他の作品
▼村田沙耶香『信仰』感想

▼村田沙耶香『コンビニ人間』感想

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