【第160回芥川賞】上田岳弘『ニムロッド』感想~ビットコインが小説になっちゃいました!~

上田岳弘
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【第160回芥川賞】上田岳弘『ニムロッド』感想~ビットコインが小説になっちゃいました!~

今回は、上田岳弘さん『ニムロッド』という小説を紹介したいと思います!

この小説は、第160回芥川賞を受賞した作品です。

今回の記事では、以下の内容を紹介します。

  • 主要な登場人物
  • あらすじ
  • オススメできるポイント
  • 疑問に思った点

 

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主要な登場人物

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まずは、この物語の主要な登場人物を3名紹介します。

主人公:中本サトシ

この小説の主人公は、中本サトシという38才の男性です。

IT系の会社に勤務しており、ある日突然、社長から仮想通貨であるビットコインをマイニング(採掘)する課の課長を任命されます。

ビットコインのマイニングというのは、パソコンを使ってまだ見つかっていないビットコインを掘り出すということです。

ビットコインは、お金に換えられるので、掘り出したビットコインが報酬となります。

ちなみに、この小説はビットコインについての知識がなくても十分楽しめるようになってます。

そして、この小説の主人公である「中本サトシ」は、ビットコインの創始者と噂されている「ナカモトサトシ」と同姓同名です。

主人公の恋人:田久保紀子

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続いて、『ニムロッド』の主要な登場人物2人目は、田久保紀子という37才の女性です。

田久保紀子は、外資系の金融会社に勤務しており、主人公である中本サトシと恋人関係にあります。

彼女は、以前に1度結婚していましたが、出生前検査で陽性反応があり、子どもを中絶したという過去があります。

その時のことが原因で夫とは別れ、今でも、結婚していた時のことがトラウマになっています。

先輩:荷室 仁(ニムロッド)

最後は、主人公の中本サトシの先輩である、荷室仁という39才の男性です。

この男性のあだ名が「ニムロッド」であり、この小説のタイトルとなっています。

以前は、中本サトシと同じ職場で働いていましたが、2度小説の新人賞を逃しており、3度目の落選をきっかけに鬱病を発症し、現在は、名古屋で勤務しています。

なぜか、ニムロッドは、中村サトシに、今までに開発された飛行機の失敗作についてメールを送り続けています。

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あらすじ

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続いて、『ニムロッド』のあらすじを簡単に紹介します。

この物語は、大きく分けると3つの軸で構成されています。

1つ目が、主人公中本サトシの仕事である「ビットコインの採掘状況」について。

2つ目が、中本サトシとその恋人である田久保紀子とのシーン。

主人公との会話を通して、田久保紀子という女性がどのような人なのかが浮き彫りになっていきます。

3つ目が、ニムロッドからのメールです。

そのメールは2種類あり、1つが先程も触れた、過去に開発された「ダメな飛行機」に関する情報で、もう1つが、「ニムロッド」が書いている小説です。

この3つのシーンが平行して進んでおり、テンポよくストーリーが進むので、途中でマンネリ化することなく読み進めることができます。

私は、この3つのシーンの中では特に、「ニムロッド」が描いた小説がオススメです。

ジャンルはSFで、その世界では、人間同士が溶け合って「別の生き物」となっています。

主人公は、ある塔の最上階にいて、失敗作である「ダメな飛行機」を集めています。

なぜ主人公はダメな飛行機を集めているのか、なぜ人間はどろどろに溶け合ってしまったのか、謎が多くて、興味が惹かれる小説でした。

『ニムロッド』という小説よりも、この主人公の先輩が描いた小説の方が面白いのではないかと思うほどでした。

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オススメできるポイント

続いて、この小説をオススメできるポイントを2つ紹介します。

1つ目は、読みやすいこと

2つ目は、ビットコインの超入門書となること

読みやすさ

まず、読みやすさについて説明します。

中には、芥川賞受賞作と聞くと、「難しそう」と思う人もいるかと思います。

しかし、『ニムロッド』は芥川賞の中ではすごく読みやすい小説となっています。

周りくどい言い回しや、難解な言葉がほとんどないので、普段純文学を読まない人にとっても読みやすいと思います。

また、ページ数も136ページとそれほど多くはないので、さくっと読むことができます。

ビットコインの超入門

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続いて、ビットコインの超入門ということについて説明します。

この小説の主人公がビットコインの採掘を行うことから、どのような仕組みでビットコイでお金を稼ぐかについて簡単に紹介されています。

なので、ビットコインがどんなものなのか、物語を読むついでに仮想通貨について知ることが出来るので一石二鳥です。

この本は、専門書ではなく、あくまでも小説なので、ITについてアレルギーがある人でも抵抗なく読めると思います。

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『ニムロッド』に関する謎 ※ネタバレ注意

最後に、『ニムロッド』に関する謎について説明します。

この謎というのは、私が読んでいて疑問に思ったことなので、もし分かった方がいらっしゃればコメント欄などで教えてくれるとありがたいです。

また、ここからは、ネタバレの内容も含みますので、ネタバレが嫌な方は、ご遠慮ください。

謎1つ目は、主人公 中本サトシの左目から涙が出る理由です。

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本人も謎の現象と言っており、なぜ涙が出るのか分かっていないようでした。

先輩のニムロッドが描いた小説の主人公は、右目から涙が出るようでしたが、なぜ中本サトシと同じように左目でなかったのかも気になるところです。

謎2つ目は、先輩のニムロッドの小説に出てくる「どろどろに溶け合った人間」です。

小説では、経済・政治・芸術など、全てを司る存在であると説明されています。

私の予想では、人間が1つの集合体になることで「神」になろうとしているのではないかと感じました。

しかし、実際のところどろどろになった人間が、何をしようとしているのか具体的なことはよくわかりませんでした。

謎3つ目は、主人公が、恋人である田久保紀子とニムロッドの2人の行方です。

はたして、2人は生きているのか、死んでしまったのか。

はたまた、ないとは思いますが田久保紀子とニムロッドの2人は付き合い始めたのかどうかは謎です。

もし、『ニムロッド』を読んで分かった方や、こうではないかと予想できることなどがあれば教えてくださいm(_ _)m

『ニムロッド』についての紹介は以上です。

本が好きという方は、是非読書登録をお願いします。

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併せて読みたい:過去の芥川賞受賞作

【第159回芥川賞受賞】高橋 弘希『送り火』

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【第155回芥川賞受賞】村田沙耶香『コンビニ人間』
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