【要約】『ファクトフルネス』~ヒトよりチンパンジーの方が世界を正しく認識している!?
こんにちは、池井榊です。
今回は、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』という本を紹介したいと思います。
突然ですが、問題です。
【問題】
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょうか?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
答えは、、、
「C」の半分になったです。
みなさん、正解できましたか?
実は、この問題の正答率は、人間がチンパンジーに負けています。
人間の正答率は、なんとたったの7%だったようです。
10人に1人も正解できていないという計算になります。
そして、チンパンジーの正答率は33.3%です。
チンパンジーの場合は、3匹に1匹がこの問題に正解するという計算です。
人間よりも、チンパンジーの方が世界を正しく認識しているのかもしれません。笑
というのは冗談で、チンパンジーが33.3%正解できるのは、3択の問題なので、適当に答えたら3分の1の確率で正解できるからです。
決して、チンパンジーが「世界の貧困がここ20年で半減した」ということを理解していた訳ではありません。
先程の問題の正答率から、世間では、正しい情報が行き届いていないばっかりに、多くの人が正しく世界を認識できていないということが分かっていただけたと思います。
日頃から新聞やニュースを見ていると、世界の貧困問題は全く改善していないように感じますが、実は、ここ20年間で半分にまで減らすことができたようです。
あまり変わらない、もしくは、どんどん悪くなっているように感じるこの世界で、だんだん良くなっていることがある、ということに驚きました。
本書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』は、データを基にして世界を正しくみるための習慣を身につけるために書かれた本です。
私が、この本を読んだ感想を率直に言いますので、メチャクチャ良い本でした。
以前、当ブログ『読書シンドローム』の中で、2019年に読んだ本で面白い本をランキング形式で紹介しました。
本を読む時は、いつも面白いと感じたところや重要だと思ったところにフセンを貼りながら読んでいて、フセンを貼った数が多い順にランキングをつけています。
今年のうちに『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』よりも良い本が見つかることを期待していますが、この本を越えるものはそうそう見つからないとすら思うほど、すごく良い本でした。
本書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の著者であるハンス・ロスリングさんは、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げたことのある医師で、タイム誌が選ぶ「世界で最も影響力の大きな100人のうちの1人」に選ばれています。
それでは、早速本書の紹介に入りたいと思います。
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世界の認識を見誤る10個の本能
まず、人間には、世界の認識を見誤る10個の本能があり、世界に対する正しい認識を持つには、まずはその本能を知ったうえで、そのクセの対策をする必要があるとされています。
その10個の本能は次の通りです。
1. 分断本能
2. ネガティブ本能
3. 直線本能
4. 恐怖本能
5. 過大視本能
6. パターン化本能
7. 宿命本能
8. 単純化本能
9. 犯人捜し本能
10.焦り本能
数が多いので、初めの3つの本能に絞って紹介していきたいと思います。
1.分断本能
まずは、分断本能から説明します。
人は、「お金持ち」と「貧乏」、「勝者」と「敗者」などのようにものを分けて考える傾向にあり、本書ではそれを「分断本能」と呼んでいます。
ものごとをシンプルにするために、分けて考えることは便利な面もあります。
しかし、ものごとを単純化することによって生じる弊害もあります。
例えば、みなさんは学校で、裕福な国を「先進国」、貧しい国を「発展途上国」と習ったと思います。
確かに、今から50年ほど前の時代であれば、先進国と途上国に分けることに意味がありあました。
しかし、2017年の調査では、先進国と分類される人口の割合は、世界の人口の85%を占めており、途上国と分類される人口は、全人口の6%で、たったの13ヵ国のみとなっています。
残りの9%は、先進国と途上国の間に位置しており、途上国に占める割合よりも多いのが現状です。
よって、今は先進国と途上国を分けて考えることにはそれほど意味がないことが分かると思います。
そして、ものごとを分断することで世界認識を見誤ってしまわないためには、「大半の人がどこにいるのか」を知ることで、防ぐことができます。
2.ネガティブ本能
続いて、2つ目のネガティブ本能について説明します。
人は、世界がどんどん悪くなっていると思い込む「ネガティブ本能」があるとされています。
先程、世界の人口で、極度の貧困にある人の割合は、過去20年で半減したように、世界は以前より良くなっていることが多いです。
しかし、人は、
- 誤った過去の記憶
- ジャーナリストなどによる偏った報道
- 状態がまだ悪い時に、以前と比べて「良くなってきている」と言いづらい空気
のせいで、ネガティブな認識を持ちやすくなっています。
誤った過去の記憶というのは、人間は忘れる動物であり、どんなに大変だったことでも、「後から振り返ったらそれほど悪くはなかった」というように思い出を美化する傾向があるということです。
そして、ジャーナリストなどによる偏った報道というのは、良いニュースよりも、悪いニュースの方が報道されやすい傾向にあり、それによって世界が悪くなってきているような印象を受けてしまいます。
では、その対処法として、「バランスをとるために良いニュースを沢山観ればよいのではないか」と考える方もいるかと思いまずが、それは得策ではありません。
というのは、「糖分を摂り過ぎたから、塩分を沢山摂ろう」という発想と似ており、それでは問題が解決しないからです。
では、どうすればいいのかと言うと、「悪い」と「良くなってきている」という2つの考え方を持つ必要があります。
例えば、体重200キロの人が、50キロのダイエットに成功して150キロになったとします。
体重が150キロであるというのは、「悪い」状態であると言えます。
一方、以前と比べると「良くなってきている」とも言えます。
では、体重200キロの人がダイエットの結果、150キロになった状態を言い表すのは、「悪い」と「良くなってきている」のどっちが良いのでしょうか?
この本の著者は、「悪い」と「良くなってきている」のどっちかに決めるのではなく、両者を共存させる必要があると主張しています。
「良くなってきている」と言っても、「今の状態を肯定している」訳ではなく、まだ「悪い」状態ではあるが、前よりは改善している、ということです。
そして、まだ改善の余地があるということを意味しています。
150キロの人を目の前にして、良くなってきているとは言いづらいかもしれませんが、物事を悲観的に捉えすぎないためにも、「悪い」と「良くなってきている」という2つの考え方を同時に持つ必要があります。
3.直線本能
続いて、人が世界の認識を見誤る3つ目の本能である、「直線本能」について紹介したいと思います。
それでは、今回の動画最後の問題です。
【問題】
15才未満の子どもは、現在世界におよそ20億人いますが、国連の予測によると、2100年に子どもの数はおよそ何人になるでしょうか?
A 40億人
B 30億人
C 20億人
答えは、、、
A:40億人
ではなく、C:20億人です。
グラフを見ると、このまま増えていきそうに思いますが、そのようなグラフが直線を描くと思い込んでしまうのを「直線本能」と呼んでいます。
過去のデータを見て、未来を予測するのは大切なスキルではありますが、それが必ずしも正しいとは限りません。
特に人口については、この先もずっと、時間に比例して増え続けると思っている方は多いかと思います。
しかし、国連の専門家は、すでに子どもの人口は横ばいになっていると言っています。
なぜ、子どもの数は増えていないのかというと、動画の冒頭で出した問題と繋がってきますが、世界の貧困問題がだんだん「良くなってきて」おり、女性1人当たりが生む子どもの数が減っているからです。
国が裕福になると、女性が子供を生む数が減る理由は分かりますか?
貧しい国と日本を比べると分かると思いますが、貧しい国では、労働力として子ども子どもが沢山必要であるにも関わらず、子どもの死亡率が高いです。
なので、貧しい国では、できるだけ多く子どもを作る必要がありますが、日本のように経済的に豊かになると、子どもの死亡率が低く、教育費が高いので、子どもの数が減っていきます。
そして、繰り返しになりますが、世界の貧困は徐々に「良くなってきている」ので、人口がひたすら増える、ということにはならないことが理解できると思います。
『ファクトフルネス』を読む人が増えると、世界はもう少し良くなる!?
『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を読んで、世界に対する正しい認識を持つ人が増えると、世界はもう少し良くなるのではないかと思います。
今回は、世界の認識を見誤る10個の本能のうち、3つを紹介しましたが、続きが気になる方は、是非購入して読んでみてください。
これだけ質の高い本が2000円というのは、安すぎです!!!
これだけ良質な本を2000円程度で読めるというに、改めて自分はすごく恵まれていると思いました。
この記事を読んでいる方のほとんどは日本人だと思いますが、日本で生まれただけでも、かなりの高設定だと思います。
当たり前なことを当たり前でないと思うことは難しいですが、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を読むと、何か感じることがあると思います。
『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の紹介は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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