【書評&要約】『death「死」とは何か』┃イェール大学の哲学の授業で評価が高い!?

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【書評&要約】『death「死」とは何か』┃イェール大学の哲学の授業で評価が高い!?

こんにちは、池井 榊です!今回は、シェリー・ケーガンさんの『「死」とは何か』という本の内容を紹介します。

この本は、イェール大学で23年間連続で行っている人気講義を書籍にしたものです。

なんと、世界各国で翻訳され、25万部を突破するほど人気のある本です。

具体的な内容は、

・不死について

・死はなぜ悪いのか

・死ぬときは独りというのは本当なのか

・死と、それに対する「恐れ」の考察について

・人は自分が死ぬことを本気では信じていないこと

など「死」について哲学的に考察しています。

哲学というと難しいイメージがあるかもしれませんが、本書では専門用語が一切使われていないので、哲学を勉強したことがない人でも読みやすい内容になっています。

今回は、この中の「死はなぜ悪いのか」について紹介します。

YouTubeで観たい方はこちら


【死って何で悪いの!?】シェリー・ケーガン『死とは何か』

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死はなぜ悪いのか

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多くの人は、死を悪いものであると感じています。

中には、死は生からの解放であると主張する方もいるかと思いますが、それは一部の人だと思います。

この章では、死は本当に悪いのか、悪いとすればなぜ死は悪いのかについて、徹底的に考察しています。

死を悪いとすると、まず、考えなければならないのは、「死は誰にとって悪いのか」です。

考えられるパターンは以下の2つです。

・死は周りの人にとって悪い

・死は本人にとって悪い

死は周りの人にとって悪い!?←これ間違いです

まず、1つ目、死は周りの人にとって悪いという場合について。

自分の愛する人や家族の死を悲しまない人はいません。

なので、死は周りの人にとって悪いというのは、当然だと思います。

しかし

著者はこの考えを否定しています。

普通の感覚では、死は周りの人にとって悪くないなんて、考えられないですよね。

こんなことを言う人がいればサイコパスなのではないかと疑ってしまいます。

著者は、死は周りの人にとって悪くないということを、2つのお話を例に説明しています。

まずは、1つ目のお話。

あなたの友人の1人が、遥か彼方の恒星の探査を行うため、宇宙へ行くとします。

その友人は、地球を出発してから20分後に連絡がつかなくなり、次に帰ってくるのは100年後です。

友人は、光速に近いスピードで移動しているので、10歳しか歳を取りませんが、あなたはとうに死んでしまいます。

あなたは、その友人ともう会うことができないので、「別離」の辛さを味わうことになります。

続いて、2つ目のお話。

先程の宇宙船が出発してから25分後に、ある悲劇が起こります。なんと、機械の不具合で宇宙船が爆発し、あなたの友人を含めて乗っていた人全員死んでしまう場合です。

2つ目のお話は、1つ目のお話よりも悪いと考える人が多いと思います。

その理由は、その友人ともう2度と会えなくなるからではありません!

なぜなら、1つ目のお話でも「別離」は起こるからです。

では、この2つの話のチガイは何かというと、その友人が死んでしまったことです。

なので、周りの人が、彼女が死んでしまったことを悲しんでるのは、彼女と会えなくなることではなく、死んでしまった彼女が可哀そうだからだと言えます。

以上のことから、死は周りの人にとって悪いのではなく、「本人」にとって悪いことが分かります。

死は本人にとって悪い理由:剥奪説で説明できます

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続いて、「死は本人にとって悪い」について深堀りしていきます。

先程、死は本人にとって悪いという結論を出しましたが、死は本人にとって悪いことではないという考え方を1つ紹介します。

それは、「死んだ本人は死を認識することができない」から悪いことではないのではないか、という考え方です。

自分が死んだことがわからない以上、死は本人にとって悪いとは言えません。

しかし、この考え方は「剥奪(はくだつ)説」によって簡単に否定されます。

「剥奪説」というのは、「死んだら人生における良いことを受けられなくなるから、死は悪い」という考え方です。

つまり、死は、今後起こりうる楽しい経験を奪うという説です。

「剥奪説」というのは、自分が存在していないからこそ起こると言えます。

しかし、「存在しないこと=悪いこと」という考え方には、いくつかの問題があります。

今回は、その中でも興味深い以下の2つの例を紹介します。

1 「生まれる前と死んだ後」は同じくらい悪いのか

2 生まれそこなった気の毒なラリーについて

生まれる前と死んだ後は同じくらい悪いのかについて←そんなわけないです

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まずは、1つ目の「生まれる前と死んだ後は同じくらい悪いのか」について。

もし、存在しないことが悪いことであるとすると、死んだ後だけでなく、生まれる前の空白の時間も悪いことになります。

しかし、自分が生まれる前の無限の時間を悪いという人はいません。

私が生まれる前はこの世に私が存在していなかったなんて、そんなの死ぬのと同じくらい最悪!

このように考える人はほとんどいないですよね

話を戻します。

では、生まれる前の自分が存在していなかった時間が悪いことでないなら、死んだ後の時間も悪くないはずです。

しかし、生まれる前と後の「非存在」では、決定的な違いがあります。

それは、喪失を伴うか伴わないかのチガイです。

人は、将来手に入るものを持っていなかったことよりも、かつて持っていたものを失うことの方が悪いと考えます。

実際、もっと、早く生まれていればという人よりも、もっと長く生き延びたいと思う人が多いはずです。

続いて、「存在しないこと自体は悪いことではない」と裏付けるもう1つの例を紹介します。

生まれそこなった気の毒なラリーについて:ラリーって誰!?

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それは、「生まれそこなった気の毒なラリーについて」です。

この記事を読んでいるあなたは、母親の卵子と父親の精子が受精することで、この世にを受けました。

しかし、もし母親の別の卵子と父親の別の精子が受精していた場合は、あなたではなく、別の子供が生まれていたはずです。

本書では、仮にその子をラリーと呼んでいます。

なんでラリーなの?

ごめん、わからないww

ラリーが生まれてこなかったからこそ、あなたが生まれることができたと言えますし、

 また、あなたもラリーになりえたと言うこともできます。

しかし、ラリーが生まれてこなかったことを嘆く人はほとんどいません。

なぜなら、ラリーはもともと存在していなかったからです。

以上の2つ例から、存在しないこと自体は悪くないことが分かります。

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【結論】なぜ死は悪いのか:「剥奪説」が有力

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著者は、死はなぜ悪いのかについては、次のように結論付けています。

「死のどこが悪いのかというと、死んだら人生における良いことを受けられなくなることである」

これは、先程紹介した、「剥奪説」こそが最も有力であるということです

忙しい日本人は、普段「死」について意識している人はほとんどいないと思います。

しかし、生きている以上、死は決して避けられません。

この記事をきっかに、「死」を通して「生」を考えるきっかけになれば幸いです。

今回は、「死はなぜ悪いのか」についての1章分を紹介しました。

他の章も読み応えのある面白い内容になっているので、気になった方は是非読んでみてください!

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