【近代文学】おすすめの作家ランキング【日本文学の名作・最高傑作とは】
今回は、近代文学(日本文学)のおすすめ作家をランキング形式で紹介していきます。
完全に趣味全開であることをご了承ください。
この記事では、作家ごとにオススメの作品も併せて1つずつ紹介していきます。
純文学で面白い作品を探している方は是非参考にしてください。
それでは、早速第10位から順に紹介していきます。
第10位は川端康成(敬称略)です。
第10位 川端康成
川端康成は、ノーベル文学賞を受賞したことで有名です。
日本人でノーベル文学賞を受賞したのは、川端康成と大江健三郎の2人だけなので、これだけでも相当凄い作家であることが分かると思います。
川端康成のオススメの作品は『雪国』です。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった
この一文で始まる『雪国』は、新潟県の湯沢温泉が舞台となっており、川端康成の実体験を元にして書かれた作品です。
この作品を読むときは、風景描写に注目してみてください。
文章がただただ美しいです。
初めて川端康成の作品に触れた時は、「これがノーベル文学賞作家の文章なのか」と圧倒されました。
また、川端康成はノーベル文学賞を受賞した4年後の1972年に自ら命を絶っています。
ガス自殺であったと言われていますが、遺書がなかったため、なぜ自殺したのかがよく分かっていません。
作家の生い立ちを知ることで、より作品を身近に感じられ、感情移入して読むことができると思います。
続いて、第9位は武者小路 実篤です。
第9位 武者小路実篤
「むしゃのこうじ さねあつ」という名前が衝撃的ですよね。
ペンネームにしてはやり過ぎだと思いましたが、どうやら本名のようです。(←失礼)
武者小路実篤のオススメの作品は『友情』です。
『友情』は、モテない主人公とモテる友人が同じ女性を好きになるという三角関係を描いた作品です。
モテない主人公というのが武者小路実篤本人がモデルで、モテる友人が同じ作家兼友人の志賀直哉がモデルであると言われています。
モテない主人公がストーカーちっくというか、今でいうとキモオタっぽいキャラクターです。
そのキモさにちょっと引いてしまうこともありますが、それと同時に愛らしさも感じました。
武者小路実篤という名前を見ると、擬古文のような堅苦しい文章を書いているのかと思う方もいるかもしれません。
しかし、実際ページをパラパラとめくると分かるように、会話が多くとても読みやすいです。
文学を普段読まない方にもオススメです。
続いて、第8位は宮沢賢治です。
第8位 宮沢賢治
宮沢賢治の作品は、小学生の教科書にも掲載されているので、児童文学作家として有名だと思います。
宮沢賢治は病気によって37歳という短さで生涯を終えています。
そして、生前に刊行された作品は次の2つと雑誌・新聞に寄稿した数点だけです。
- 『春と修羅』(詩集)
- 『注文の多い料理店』(童話集)
『銀河鉄道の夜』や『雨ニモマケズ』といった有名作品は、死後発表されました。
そんな宮沢賢治のオススメの作品は、『銀河鉄道の夜』です。
『銀河鉄道の夜』は恵まれない少年 ジョパンニが、友人のカムパネルラと一緒に銀河鉄道という不思議な世界を旅する話です。
児童文学という位置づけですが、大人が読んでも面白い、というより子供には(大人にも)難しいと思います。
『銀河鉄道の夜』は、オリエンタルラジオの中田敦彦さん(あっちゃん)がYouTubeで分かりやすく説明してくれているので、興味がある方は是非ご覧ください。
関連動画:中田敦彦のYouTube大学【宮沢賢治】銀河鉄道の夜
個人的には、中田敦彦さんのチャンネルが今のところYouTubeで1番面白いと思っています。
続いて、第7位は志賀直哉です。
第7位 志賀直哉
志賀直哉は他の作家から小説の神様と崇められていた作家です。
小説の神様って文豪の中の文豪という感じがしますよね。
芥川龍之介も志賀直哉の小説を絶賛しています。
芥川龍之介の死後に発表された『歯車』という短編小説では、主人公が志賀直哉の長編『暗夜行路』を読んでいるシーンが描かれています。
一方、芥川龍之介が大好きな太宰治からは嫌われていたことは有名です。
太宰治が死ぬ直前に書いた『如是我聞(にょぜがもん)』の中で、小説の神様と謳われる志賀直哉を名指しで全否定しました。
しかし、志賀直哉と太宰治は面識がなかったため、なぜ否定されたのかよく分からなかったようです。
これがきっかけとなって太宰治は文壇を干されてしまい、その後に心中自殺をします。
では、志賀直哉のオススメの作品はと言うと『小僧の神様』です。
『小僧の神様』は、志賀直哉が小説の神様と呼ばれるきっかけとなった作品だと言われています。
志賀直哉が発表した長編小説は『暗夜行路』のみで、あとは短編・中編小説です。
『小僧の神様』も短い話なので気軽に読むことができます。
続いて第6位は、三島由紀夫です。
第6位 三島由紀夫
三島由紀夫は、元々ガリガリ体型でしたが、そんな自分を変えるために鍛えまくりゴリゴリのマッチョになります。
自分の弱さと徹底的に抗うことで強い男になった三島由紀夫は、「弱さを武器」にした太宰治を嫌っていたことで有名です。
- 太宰治は芥川龍之介が好き
- 芥川龍之介は志賀直哉が好き
- 太宰治は志賀直哉が嫌い
- 三島由紀夫は太宰治が嫌い
作家の人間関係は結構ゴチャゴチャですね。笑
しかし、三島由紀夫は太宰治が好きだったのではないかとも言われています。
嫌よ嫌よも好きのうちとも言いますが、実際のところはどうだったのでしょうか?
ただ、三島由紀夫の処女作『仮面の告白』は、太宰治『人間失格』と同様に告白小説ですので、少なからず影響を受けているはずです。
この作品は、筋肉ムキムキな男が好きな男(←)の話です。
最近は、多様性が認められてきておりLGBTなどといった言葉もありますが、三島由紀夫の時代はかなり偏見があったと思います。
その中で、『仮面の告白』というホモ小説を発表できたのは凄いとしか言いようがありません。
文章にも危機迫るものが感じられます。
続いて、第5位は安部公房です。
第5位 安部公房
安部公房は変な小説ばかり書いています。
読めばすぐ他の作家とは明らかに違うということに気づくはずです。
海外の作品でいうとカフカの『変身』やカミュの『異邦人』などと近いものを感じます。
安部公房は小説だけでなく戯曲(劇の台本のようなもの)も書いており、その中の『友達』という作品もなかなか奇妙で面白いです。
『友達』は、男の家にある9人の家族が突然遊びに訪れ、ついには住みついてしまうという話です。
男は、なぜこの家族が自分の家に来たのかが分からないし、警察を呼んでも「何も被害に遭ってないじゃん」と一蹴されてしまいます。
この意味の分からなさがメチャクチャ面白いです。
小説でオススメなのは『砂の女』です。
『砂の女』はフランスの文学賞を受賞しており、20ヶ国語以上も翻訳されています。
この小説は、砂丘に昆虫採集に出かけた男が砂に埋もれていく家に案内され、そこから出してもらえなくなるという話です。
その家には一人の女が住んでいるが、なぜ閉じこめるのかを聞いても歯切れの悪い言葉しか返ってこない。
その女も、砂だらけの家も町もただただ不気味です。
北海道の冬は雪が多くて大変ですが、『砂の女』を読むと砂と比べると雪の方が全然ましだなと思いました。
続いて第4位は谷崎潤一郎です。
第4位 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎は耽美(たんび)派の一人で、文学を通してひたすら美を追求しました。
中でも『春琴抄(しゅんきんしょう)』という作品では究極の愛を描いています。
この小説は、盲目の少女 春琴と彼女に仕える佐助の物語です。
ドSな春琴は日頃からドMである佐助に厳しい言葉ばかりを浴びせていました。
ある時、何者かが寝ている春琴の顔に熱湯をかけたことで、春琴の顔がヤケドでただれてしまいます。
佐助だけにはこの顔を見られたくないという春琴の言葉を受けて、佐助は自分の目に針を刺して自ら失明します。
佐助が失明したことを聞いた春琴は、初めて「嬉しい」と感謝の気持ちを伝えるという話です。
なかなか衝撃的な話ですよね。
自分の目に針を刺す描写があまりにリアルだったので、その部分は目を細めながら読んでいました。笑
自分で目を刺すってヤバイですよね。
谷崎やりすぎ!って思いました。笑
しかも、さらに衝撃的なのが春琴にお湯をかけた犯人が佐助なのではないかということです。
作中には明記されていないので、本当のところは誰が犯人なのかは分かりません。
他にも犯人候補はいますが、佐助がやったという可能性も否めないということです。
僕は、春琴を喜ばせるために行った佐助の自作自演という説は全然ありえると思っています。
『春琴抄』は短くて凄く面白いですが、「、」や「。」そして改行が少ないのでなかなか読みづらいです。
もし抵抗があるという方は『痴人の愛』をオススメします。
『痴人の愛』は、年下の女性に手のひらで転がされる男を描いた作品です。
こちらは会話文も多くて『春琴抄』よりも読みやすいと思います。
谷崎潤一郎は足フェチで有名なので、足が好きな方にもオススメです。笑
ちょくちょく足の描写があり、僕はそれを見つけるとワンピースでいうパンダマンを見つけた時のような嬉しい気持ちになります。
足フェチの話はおいといて、第3位は夏目漱石です。
第3位 夏目漱石
夏目漱石の作品に初めて触れたのは、中学生の授業だったと思います。
たしか『こころ』の中の「先生の遺書」が教科書に載っていたはずですが、不思議なことに授業の内容を全く思い出せません。笑
そして、その時は「女を奪い取られてKが可哀想だ」という感想しかなく、「夏目漱石面白い!」とは思いませんでした。
夏目漱石が面白いと感じるようになったのは、大学生の時にもう一度『こころ』を読み返した時です。
- 恋は罪悪だ
- お金で人は変わる
- 向上心のないやつはバカ
このような言葉が心に刺さり、そこでやっと「夏目漱石面白い!他の作品も読みたい!」と思えるようになりました。
- 大学生になって読解力が上がった
- 中学の先生の教え方が下手だった
- 全文を読んで面白さが理解できた
どれが正解かは分かりませんが、授業で触れたで文学を好きになれなかったという人は多いと思います。
なので、文学を好きになれないで大人になった方は、僕のように改めて読むことで作品の面白さに気づけるかもしれません。
夏目漱石は文章が凄く読みやすいので、文学初心者にもオススメできます。
続いて、第2位は芥川龍之介です。
第2位 芥川龍之介
芥川龍之介は短編の名手と呼ばれており、短編作品に名作がとても多いです。
- 鼻
- 羅生門
- 地獄変
- 蜘蛛の糸
芥川龍之介が初期~中期の頃に描いたこれらの作品は、ストーリーの筋・落ちがしっかりしており面白さが分かりやすいです。
しかし、後期には作風がガラっと変わります。
これだけストーリーを作るのが上手かったのに、起承転結がはっきりしていない筋のない作品を書くようになりました。
- 河童
- 歯車
- 或阿呆の一生
これらの後期の作品を芥川龍之介の最高傑作と絶賛する人と駄作だと酷評する人にハッキリ分かれます。
僕は、芥川龍之介が自殺した後に発表された『或阿呆の一生』や『歯車』は、これはこれで凄いと思いました。
神経が衰弱した状態で絞り出した文章に迫力を感じます。
「人生は一行のボオドレエルにも若かない」という芥川龍之介の芸術至上主義を表す名言が生まれたのも『或阿呆の一生』という作品です。
芥川龍之介をあまり読んだことがない方には、初期の作品をオススメしますが、もし初期の作品を気に入った方は是非後期の作品を読んでみてください。
ただストーリーを作るのが上手い作家ではないことに気づくと思います。
そして、いよいよ第1位の発表です。
オススメの近代純文学作家第1位は、太宰治です。
第1位 太宰治
純文学好きの中で、太宰派vs芥川派 に分かれますが、僕は両方好きです。
なのでどっち派とかはありませんが、もしどっちかを選ばないといけないとなると太宰治の方が好きと答えます。
ちなみに、芦田愛菜ちゃんは芥川派だと言っていました。(←聞いてない)
太宰治の文章には中毒性があり、作品を読んだ読者は決して他人事とは思えず、自分事として受けとってしまう程の魔力があります。
そのため『人間失格』を読んだ多くの人は「これは自分だ!」と思い、主人公の葉蔵に感情を移入することになります。
僕も「うわ〜超わかる!」と感動し、『人間失格』を読んだことをきっかけに他の作品を読み始めました。
『人間失格』は日本文学の最高傑作と言っても過言ではありません。
文章が強烈で、どの作品を読んでも、太宰治が目の前で語りかけてきているのではないかと錯覚してしまう程でした。
僕は中学の時の授業の影響で、太宰治と言えば『走れメロス』という印象を持っていました。
なので『人間失格』を読むまで、太宰治を超熱血でエネルギッシュな男だと思っていました。
しかし、他の作品を読んで『走れメロス』が明らかに異質な作品であることに気がつきます。
今となっては、なぜ『走れメロス』を教科書に載せているのかが不思議でしょうがないくらいです。
ちょっと刺激が強すぎるかもしれませんが、『人間失格』こそ教科書に載せるべきなのではないかと思っています。
『人間失格』は、夏目漱石の『こころ』と並んで日本で1番売れている本ですが、読んだことがないという方も多いはずです。
『人間失格』は日本が誇れる文学作品なので、この機に是非読んでみてください。
オススメの近代文学作家ランキングの紹介は以上です。
ここでは10人紹介しましたが、人気があるからと言って面白いと感じるとは限りません。
面白くないのに無理して読むと、文学嫌いになりかねないので、まずは自分が面白いと感じた作品だけつまみ食いしてみてください。
気づいたら、作品だけでなく作家ごと好きになっているかもしれません。
以前に、「現代」純文学のオススメ作家を紹介している記事を書いているので、もしよかったら併せてご覧ください。
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