『脳はなぜ「心」を作ったのか』前野隆司~ヒトの心は脳の奴隷!?~
こんにちは! 池井 榊です。
今回は、前野隆司さんの『脳はなぜ「心」を作ったのか』という本の内容を紹介したいと思います。
YouTubeで観たい方はこちら↓をご覧ください。
【本の紹介】前野隆司『脳はなぜ「心」を作ったのか』~ヒトに意志なんてなかった!?~
ヒトに意志はない!?
突然ですが、質問です。
「あなたが今していることは、自分の意志でやっていることでしょうか?」
例えば、今、この記事を読んでいるのは、自分で決めたことでしょうか?
ほとんどの方は「そんなの当たり前じゃん!」とは思うはずです。
しかし、それは間違いであると、1983年に発表されたカリフォルニア大学での研究結果によって分かっています。
もしそうだとしたら、かなり衝撃的ではないでしょうか?
私もこのことを知った時は、にわかには信じられませんでした。
私が、今、『脳はなぜ「心」を作ったのか』の紹介をしていることが自分の意志じゃないとは思えません。
では、自分の意志ではないとしたら、一体何に従って自分は行動しているのでしょうか?
その答えは、「脳」です。
どういうことかと言いますと、人は脳の「無意識」の働きによって行動している、ということです。
無意識というのは、心臓を動かしたり、体温を調節したり、自分の意志でコントロールできないものです。
「いやいや、そんな訳ない!今、私は自分の意志によってこの記事を読んでいるんだ!」と納得できない方のために、もう少し詳しく説明します。
意識が先?無意識が先?
先程軽く触れたカリフォルニア大学での研究では、人が手や足などの身体を動かすのは、「意識」と「無意識」どちらが先に働くのかについて調べました。
今までは、「意識」が「指を動かそう」と思うことにより、「無意識」である脳から「動け!」と司令が出て、実際に指が動くということが信じられていました。
図にすると、こんな↓感じです。
従来の考え
意識(心)「指を動かそう」
↓
無意識(脳)「 指よ、動きたまえ!」
↓
指「仰せのとおりに」
つまり、無意識よりも意識が先であると考えられていた、ということです。
しかし、本当に意識が先なのかを調べるために、実験を行ったところ、
意識が「指を動かそう」と思う0.35秒前に、脳(無意識)から指令が出ていることが分かりました。
図にすると、こんな↓感じです。
実験の結果
無意識(脳)「 指よ、動きたまえ!」
↓0.35秒後
意識(心)「指を動かそう」
↓
指「仰せのとおりに」
つまり、心が「指を動かそう」と意識する前に、「無意識」のスイッチが入り、指を動かす準備ができている、ということです。
自分が「YouTubeを観よう」と思う前に、無意識である脳がすでにYouTubeを観ようとしているというのは、凄く奇妙であると感じるはずです。
しかし、この研究の結果に驚いたのはみなさんだけではありません。
その当時の世界中の学者が驚いたようです。
サールという哲学者は、「もしそうだとしたら、それは宇宙最大の冗談に違いない」と驚きを隠せなかったようです。
科学は、同じ手順を踏めば、誰がやっても同じ結果にならなければなりません。
この研究結果に納得がいかず、同じ実験を試した科学者がいました。
しかし、結局誰がやっても同じ結果が得られたようです。
そして、とうとうこの実験が間違っていると証明できた人は現れませんでした。
ヒトは意思があると「錯覚」している
話を戻します。
今、みなさんは、自分の意志でYouTubeを観ようと決めて、この動画を観ているはずです。
しかし、本書では、それは「錯覚」であると言われています。
つまり、意識は、自分で決めたと思い込んでいるだけであるということです。
では、自分の意志で行動していると錯覚している意識は、一体何をしているのでしょうか?
その質問の答えには、「自分の身に起っていることを観察している」という説があります。
このことは、「受動意識仮説」と呼ばれています。
今までは、意識が自分の行動をコントロールしていると思われてきましたが、実は、意識は「自分の人生をただ傍観している」だけであると考えられています。
自分がコントロールしていると思っていた人生が、実は、脳にコントロールされていた。
自分の心と身体は、脳に従うだけの奴隷なのではないか、と考えられています。
今、自分が行きたい大学のために一生懸命勉強していることも、会社のプロジェクトを成功させるために頑張っていることも、
実は自分の意志ではなく、ただ脳に命令されていただけ、というのは、なかなかショッキングで受け入れ難いことだと思います。
中には、自分の意志ではどうにもならないという事実を知って、人生が味気ないもののように感じる方もいるかと思います。
しかし、意識は人生をただ傍観しているだけという「受動意識仮説」を知ることには、メリットがあります。
受動意識仮説のメリット
今回の動画では、そのメリットを2つ紹介したいと思います。
メリット①自分を許せる
1つ目は、「自分を許せる」ことです。
例えば、学校や職場で何か失敗をした時。
真面目な人は「自分はいったい何をやっているんだ」と自分を責めてしまうと思います。
しかし、先程の「受動意識仮説」からすると、そのミスをしたあなたは全く悪くないことになります。
それは、あなたがした行動というのは、脳の仕業だからです。
なので、あなたは自分の行動をコントロールできないので、失敗をしてもそれはあなたの責任ではなくなります。
また、何かを失敗をして学校の先生や職場の上司に怒られたとしても、「今のは、私がやったんじゃない、脳がやったんだ」と思うことで、気持ちが楽になると思います。
これを実際に口に出してしまうと、「受動意識仮説」を知らない先生や上司はさらに怒りだすことになるので、なるべく控えましょう。
「受動意識仮説」を知っていれば、ミスをしても自分のせいじゃないことが分かるので、自分自身を許せるようになります。
メリット②人を許せる
続いて、「受動意識仮説」を知るメリット2つ目は、「人を許せる」ようになることです。
これは、先程の「自分を許せる」というものの逆パターンです。
自分の失敗が自分のせいじゃないことと同様に、他の人の失敗というのも、その人のせいではないことが分かります。
その失敗というのは、その人の脳がやったことで、失敗をしたその人が悪いわけではありません、
人の失敗に腹が立つこともあるかと思いますが、失敗をしたその人を責めても意味がないということは、すでにお分かりかと思います。
何かを失敗している人がいたら、「今のは、この人がやったんじゃない、この人の脳がやったんだ」と思えば、その人を許せるはずです。
受動意識仮説は「世界平和」への第一歩!?
以上のように「受動意識仮説」を知っていれば、自分のせいだ、とか、お前のせいだ、とか責任の押し付け合いをせずに済むことが分かります。
「受動意識仮説」を多くの人と共有すれば、『全ては「脳」が悪いんだ!他の誰も悪くない』という平和な世の中になると思います。
ヒトは、実は自分の意志で行動していると「錯覚」しているということを知らない人は多いと思います。
受動意識仮説を知らない人に、この話をすると盛り上がること間違いなしです!
もっと詳しく知りたいという方は、是非読んでみてください。
ヒトは「自分の意志で行動していると思っているだけ」という衝撃的な事実を、私は一生忘れないと思います(^-^)
それほどインパクトのある良い本でした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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