【要約】菅野仁『友だち幻想』~なぜ、いじめはよくないのか~
こんにちは!ブロガー兼VTuberのサカキです!
みなさんは、日本の素晴らしい教育を受け終わりましたか?
それとも、まだ受けている最中で素晴らしい人間になる途中でしょうか。
洗脳教育を受け終えた方、「みんな仲良く」しなくてはいけない環境で過ごした学校生活はいかがでしたか?
全員が仲良くなれるはずがないなんてみんな分かってるはずですよね。
人が何十人も集まったらその中にどうしても気に食わない人が少なくても1人か2人はいますよね。
「全ての人間と良い関係を築けることを前提」に教育されると、仲良くできない方が悪いのかと思ってしまいますよね。
絶対に仲良くなんかなれない人と無理に仲良くさせようとすると、余計に仲をこじらせて衝突を起こしかねません。(人とぶつかることで学ぶこともありますが)
学校で教えるべきなのは、全員と仲良くなる方法ではなく、馬の合わない人が同じ環境にいても、お互いが気持ちよく生活するための方法です。
今回紹介する『友だち幻想』という本は、「みんな仲良く」という押し付けに苦しんでいる中高生への助けになるはずです。
この本は学生向けかもしれませんが、大人が読んでも十分ためになる内容でした。
日本の学校教育で「なんか変だな」とモヤモヤしていたことが、この本を読むことで「そういうことだったんだ」とスッキリすることでしょう!
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『友だち幻想』内容紹介
紹介する内容は以下のとおりです。
- 現代では気の合わない人間と「並存」「共在」できることが大切
- ルールは「自由のため」にある!
- なぜいじめをしてはいけないのか
- 大人になるのに必要だが、学校では教えない2つこと
順番に説明していきます!
現代では気の合わない人間と「並存」「共在」できることが大切
まず、現代では気の合わない人間と「並存」「共在」できることが大切について説明します!
「みんな仲良く」という理念も確かに必要かもしれませんが、 「気の合わない人と並存する」作法を教えることこそ、今の現実に即して新たに求められている教育だということです。-本書p.70
昔は、だいたい小学校はムラに1つであったため、地域で助け合うことが多く、地域住民の結びつきが強かったので、「みんな仲良く」という概念は自然なものでした。
しかし、今は、地域の支えというものが減ってきているので、偶然学校が同じというだけで「みんな仲良く」という考え方にはなりません。
なので、今は、あまり好ましいと思わない相手とも「お互い傷つけあわずに、ともに時間と空間を共有する作法」を身につけることが大事だということです。
お互いが気持ちよく暮らすために、余計な干渉はしないと割り切ってしまえば、「無理に仲良くする必要はない」ことがわかると、気持ちも楽になりますよね。
これは、学校生活以外でも応用がききますね。
ルールは「自由のため」にある!
続いて、ルールは「自由のため」にあるについて説明します!
なるべく多くの人が、最大限の自由を得られる目的で設定されるのがルールです。ルールというのは、「これさえ守ればあとは自由」というように、「自由」とワンセットになっているのです。
逆にいえば、自由はルールがないところでは成立しません。-本書p.86
みなさん、「ルール」と聞くとどんな印象を受けますか?
私は、制限されるとか自由を奪われるといったように、マイナスなイメージを持っておりました。
なので、「自由はルールがないところでは成立しない」という文章を読んだときは衝撃を受けました。
でも、よくよく考えてみると、世の中にルールが一切なく「なんでもしていいよ」となると、気に食わない相手を殺す人が現れ、いつ自分が殺されるかわからなくなり、落ち着いて生活なんてできなくなります。
「究極の自由は、不自由である」と言われており、みんながある程度自由に生活するためには、最低限の「ルール」が必要となるんですね。
ルールと聞いて、マイナスなイメージを持つ人が多い理由に、学校の校則などで、前髪は目にかかってはいけないなどといった「無意味なルール」にさらされてきたからかもしれません。
それにしても、学校って意味の分からないルールが沢山ありましたね。笑
人をいじめてはいけない理由
続いて、なぜ、いじめをしてはいけないのかについて、本書の内容を基に説明していきます!
いじめが原因で子どもが自殺したということがよくニュースなっているということもあり、ほとんどの人がいじめは良くないことであると考えているはずです。
では、子どもに「なぜいじめは良くないのか」を説明するとしたら、あなたならどのように伝えますか?
人の嫌がることをしてはいけないとかいじめは卑怯者がすることだといったように色々な言い方があると思います。
本書の筆者は次のように考えています。
「自分の身の安全を守るために、他者の安全をも守る」ー本書p.90より
もっと分かりやすく言うと「自分がいじめられないようにするために、他の人をいじめるべきではない」となります。
例えば、どの社会でも大前提のルールとなっていることは「泥棒と殺人の禁止」です。
もし、自分の気分によって人を殺しても良いとなると、人をイラつかせてしまった時など、いつ自分が殺されてもおかしくない状況になります。
また、「泥棒」も同様に、欲しいと思った物を好きなだけ盗んで良いとなると、いつ自分の物が盗まれるか分かりません。
このように、自分の生命と財産が奪われる危険性に、常にさらされている状況というのは、非常に不安定であり、呑気に本の紹介なんてしていられなくなります。笑
先程紹介した「ルールは自由のためにある」という話にも繋がりますが、「泥棒と殺人を禁止すること」は、お互いが安心して生活するには不可欠なルールということです。
これは、いじめにも同じことが言えます。
もし、なんかムカつくという理由でいじめをすると、次はいつ自分がいじめられるか分かりません。
いじめっ子が、ある日突然、自分の席がなくなっていたなんてことも起こりえます。(←懐かしい!)
ただいじめは良くないと言うよりも、「人をいじめると、自分がいじめられるリスクが上がる」というように、いじめた本人が損をするということを伝える方が効果的であるはずです。
今回紹介したことが答えではありませんが、考え方の一つとして知っておいて損はないと思います。
大人になるのに必要だが、学校では教えない2つこと
続いて、大人になるのに必要だが、学校では教えない2つことについて説明します!
一つは、先に述べた「気の合わない人とも並存しなければならない」ということと、そのための作法です。
もう一つ教えないことは何かというと、「君にはこういう限界がある」ということです。ー本書p.116
これも、「なるほど!」と思いました。
確かに、学校の先生は「努力すればなんでもできるようになる」とか「人間には無限の可能性がある」とかいった綺麗事ばかり言います。
「努力すればできるようになる」という論理の弊害は、これを逆に言うと「できないのは努力が足りないから」となってしまうことです。
つまり、できないことがあると、その人ができるようになるまで頑張っていないことが悪い、ということになってしまいます。
このメチャクチャな論理で苦しんだ方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
人には向き不向きがあり、できることとできないことがあります。
なので、たとえできないことがあっても努力が足りないとは限りません。
「限界がある」ということを教えることは、ある意味「救い」だと思います。
そして、最近マンガの『テラフォーマーズ』(かなり面白いです笑)で知ったのですが、アメリカの研究で、人間には「努力遺伝子」というものがあり、努力できるかどうかに遺伝子が関係していることがわかってきているようです。
これを知った人の中には、努力できないのは遺伝のせいにして努力でなんとかなることすら努力しなくなる人がでてくるかもしれませんね。笑
最後に~人間関係に悩む全ての方にオススメします~
本書『友だち幻想』は、学校の洗脳教育に「苦しんでいる方」や「苦しんでいた方」そして、「今現在人間関係に悩んでいる方」の救いになると思います。
周りの人間関係が嫌になった時などに読んでみると良いかもしれません。
読んだ後では、読む前よりも少し生きやすくなっていることに気づくでしょう。
本書は、人間関係に悩む全ての方にオススメします!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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